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医療機関の機器台帳の作り方|チェックリスト2-①の記入例

医療機関の機器台帳の作り方|チェックリスト2-①の記入例

公開日 2026-10-16チェックリストの項目:2-①

チェックリスト2-①の機器台帳は、院内のサーバ・パソコン・ルータなどを1台1行で一覧にした表です。厚生労働省マニュアルの12列の例をもとに、何を載せるか、業者に何を聞くか、いつ直すかを、ITに詳しくない人向けに解説します。

目次
  1. 2-①で聞かれていること
  2. 台帳に載せる機器・載せない機器
  3. 厚生労働省の例にならった12列
  4. 業者に頼むこと
  5. 作り方の手順
  6. 作ったあとの更新と棚卸し
  7. 今日やること

機器台帳は、院内のサーバ・パソコン・ルータなどを1台1行で並べた一覧表です。

厚生労働省のマニュアルに12列の例があり、それをまねて作れば十分です。すべての機器が載っていればチェックリスト2-①は「はい」になります。

様式の決まりはなく、Excelでも紙でも構いません。何を載せるか、業者に何を聞くか、いつ直すかの順に見ていきます。

2-①で聞かれていること

令和8年度版チェックリストの2-①は、次の1行です。

サーバ、端末、ネットワーク機器の台帳管理を行っている。

ここでいう台帳管理とは、「どの機器が、どこにあって、誰が使い、今も使える状態か」を一覧で分かるようにしておくことです。

マニュアルは、機器の所在(設置場所やネットワーク上の住所)と、使える状態かどうかを管理するために台帳を作るよう求めています。

「はい」にしてよい目安

マニュアルの補足には、自院で持つすべての医療情報システムのサーバ・端末・ネットワーク機器を台帳で管理していれば「はい」とあります。

一部の機器だけ、たとえば電子カルテの端末だけが載っている状態では「はい」とは言えません。

立入検査では現物を見られる

マニュアルでは、2-①の台帳は、連絡体制図・BCP・運用管理規程とあわせて、立入検査で現物を確認するとされています。

都道府県によって検査で重点的に見る点は違いますが、作っておけば困ることはありません。立入検査までに用意しておきます。

業者側の確認用には、この項目がない

チェックリストには、医療機関が書く「医療機関・薬局確認用」と、業者に書いてもらう「事業者確認用」があります。

2-①は医療機関・薬局確認用にしかない項目です。台帳を作る責任は医療機関の側にあり、業者には材料をもらう、という分担になります。

台帳に載せる機器・載せない機器

まず「何を数えるか」を決めます。迷いやすいものを表にまとめました。

機器 載せるか 補足
電子カルテ・レセコンのサーバ 載せる 院内に置いている場合
診察室・受付のパソコン 載せる 電子カルテやレセコンを使う端末すべて
タブレット・ノートパソコン 載せる 持ち運ぶものほど所在の管理が大事
ルータ・無線LANの機器 載せる マニュアルの「ネットワーク機器」に当たる
VPN装置(業者の遠隔保守用) 載せる 2-②の確認にもそのまま使う
画像・検査機器につながるパソコン 載せる 情報システムの面を持つ医療機器も対象
リース・レンタルの機器 載せる 持ち方に関係なく、院内で使っていれば対象
職員の私物の端末(業務で使う場合) 載せる 利用のルールを決めたうえで載せる
給与・会計だけに使う事務用パソコン 載せなくてよい 研修資料で対象外とされている

医療機器につながるパソコンは見落としやすい

厚生労働省の研修資料では、別の窓口で買った機器の状況がつかめていない例が多いと注意されています。

レントゲンや心電計など、検査機器に付いてくるパソコンは、電子カルテとは別の業者が入れていることがよくあります。部屋を回るときに、検査室も忘れずに見ます。

クラウドのサービスやライセンスも管理の対象

ガイドライン第7.0版(企画管理編)は、管理する「情報機器等」に、利用しているサービスやライセンスも含めるとしています。

クラウド型の電子カルテを使っている診療所は、院内のパソコンに加えて、サービス名と契約先を1行入れておくと説明しやすくなります。

厚生労働省の例にならった12列

マニュアルに載っている台帳の例は、次の12列です。この列をそのまま使えば足ります。

列 書く内容 誰に聞くか
管理番号 001、002…と院内で振る番号 院内
メーカー 機器の製造元 本体のラベル
OS Windows 11 など 業者・画面の表示
ソフトウェア 電子カルテ・レセコンなどの製品名 院内
ソフトウェアバージョン 2.0 など 業者
IPアドレス ネットワーク上の住所(192.168.…) 業者
コンピュータ名 「受付PC1」など 業者・画面の表示
設置場所 診察室1、受付など 院内
利用者 主に使う人・職種 院内
登録日 台帳に載せた日 院内
状態 稼働・停止 院内
説明 メンテナンス中など、補足 院内

マニュアルの例では、1台を複数の医師で使う場合、利用者の欄に全員を並べて書いています。

例の中に、古いOSの行がある理由

マニュアルの例には、Windows 8 の端末が「稼働」として載っている行があります。

台帳は、サポートが終わった古い機器を見つけるための道具でもあります。ガイドラインでは、機器がサポート終了の対象になっていないかを確かめ、終わっている場合は業者と連携して代わりの対策をとるよう求めています。

台帳を作ったら、OSの列を見て、古いものがないか確かめておきます。

足しておくと便利な列

厚生労働省の研修資料の例には、MACアドレス(機器ごとの固有の番号)・確認日・最終更新日と更新者も入っています。

12列で足りますが、更新した日と人を台帳の上に1行書いておくと、立入検査で「いつ直したか」を聞かれたときに答えやすくなります。

利用者IDの台帳とは別に作る

マニュアルには、2-④(権限の管理)の説明で、もう1つ「利用者ID台帳」の例が出てきます。こちらは機器ではなく、電子カルテなどにログインする人の一覧です。

列は、所属部署・氏名・ユーザID・権限・状態などです。2-⑤(退職者のアカウント削除)は、このID台帳をもとに確認します。

機器台帳とID台帳は、同じExcelファイルの別シートにしておくと、点検のときに一度で見直せます。

ネットワーク構成図は求められている書類が別

ガイドライン(システム運用編)では、台帳とは別に、機器のつながりを描いた全体構成図と、業者を含む関係者の一覧を作り、最新に保つよう求めています。

チェックリスト2-①の「はい」に構成図は要りません。業者が納品時に構成図を持っていることが多いので、機器一覧を頼むときに一緒にもらっておくと手間が省けます。

業者に頼むこと

IPアドレスやバージョンは、院内で調べるより業者に聞くほうが早く、正確です。

研修資料でも、業者に対して、納品時の機器一覧に必要な情報を書くことや、保守で使う周辺機器の情報も出すことが求められています。

電子カルテ・レセコン・ネット回線など、契約している会社ごとに次のように頼めば、そのまま使えます。

いつもお世話になっております。厚生労働省のサイバーセキュリティ対策チェックリスト2-①に対応するため、機器の台帳を作っています。 貴社が納品・保守している当院の機器(サーバ・パソコン・ルータ・VPN装置など)について、機器名・メーカー・OS・ソフトウェアとバージョン・IPアドレス・コンピュータ名・設置場所の一覧をいただけますでしょうか。 遠隔保守に使っている機器があれば、どれに当たるかもあわせてお知らせください。

最後の1行は、2-②(遠隔保守している機器の確認)のためです。マニュアルでも、2-①で整理した情報をもとに2-②を確認する流れになっています。

作り方の手順

全体の流れは5つです。

機器台帳は5つの手順で作れる

  1. 1部屋ごとに機器を数える診察室・受付・サーバ置き場を回り、パソコン・サーバ・ルータなどを書き出す
  2. 2業者から機器一覧をもらう電子カルテ・レセコン・ネット回線など、契約先ごとに頼む
  3. 31台1行の表にまとめる管理番号・OS・設置場所・利用者などの列で埋める
  4. 4院長が確認する確認した日と名前を残す
  5. 5変わったら直す機器の追加・入れ替え・廃棄のたびに更新。年1回は現物と照らし合わせる

1. 部屋ごとに回って数える

業者からの一覧を待つ前に、院内を一回りします。診察室・受付・処置室・検査室・サーバを置いている棚の順に、目に入る機器を書き出します。

業者の一覧にない機器が見つかることがあります。そうした機器こそ、台帳に載せる意味があります。

2. 業者の一覧と突き合わせる

業者から届いた一覧と、自分で数えたものを照らし合わせます。

片方にしかない機器は、何に使っているかを確かめてから、載せるか、使っていなければ「停止」と書くかを決めます。

3. 院長が確認する

ガイドラインでは、機器の管理の状況を経営層(診療所なら院長)に報告し、承認を得ることになっています。

台帳ができたら院長に見せ、確認した日を書いておきます。

作ったあとの更新と棚卸し

台帳は作って終わりではなく、機器を増やした・入れ替えた・捨てたときに、そのつど直すものです。研修資料では、追加・変更・削除があったら随時更新するよう示されています。

あわせて、ガイドラインは定期的な棚卸し(台帳と実物を照らし合わせて、あるはずの機器が本当にあるかを確かめること)を求めています。

いつ やること
機器を買った・入れ替えたとき 行を足す。古い機器は「停止」にするか行を消す
業者から更新の連絡があったとき OS・バージョンの列を直す
年に1回(チェックリストの点検と同じ時期) 部屋を回って実物と照らし合わせる
立入検査の前 最新になっているかを見直し、印刷しておく

運用管理規程(4-①)には、「機器の台帳は別紙とし、機器を入れ替えたときと年1回、更新する」のように書いておくと、規程と台帳がつながります。書き方は運用管理規程の作り方で解説しています。

ほかの項目の書き方は、チェックリストの書き方にまとめています。

今日やること

  1. 院内を一回りして、パソコン・タブレット・ルータ・無線LANの機器を紙に書き出す
  2. 電子カルテ・レセコンなどの業者に、上の依頼文で機器一覧を頼む
  3. 12列のExcelを用意して、分かるところから1台1行で埋め始める

よくある質問

Q.機器台帳はExcelで作ってもいいですか?

A.構いません。厚生労働省のマニュアルは台帳の例を表で示しているだけで、様式は決められていません。紙に印刷してもExcelのままでもよく、立入検査のときに見せられる状態にしておけば十分です。

Q.台帳に載せる機器はどこまでですか?

A.院内の医療情報システムで使うサーバ・端末(パソコン・タブレット)・ネットワーク機器(ルータ・無線LANなど)のすべてです。リースやレンタルの機器も載せます。給与や会計など事務だけに使うパソコンは対象外とする考え方が、厚生労働省の研修資料で示されています。

Q.クラウド型の電子カルテで、院内にサーバがない場合は?

A.院内のパソコン・タブレット・ルータ・無線LANの機器を載せます。ガイドラインは、利用しているサービスやライセンスも資産管理の対象としているので、使っているクラウドサービスの名前も1行入れておくと説明しやすくなります。

Q.台帳はどのくらいの頻度で更新すればいいですか?

A.機器を増やした・入れ替えた・捨てたときに、そのつど直すのが基本です。あわせて、年に1回は台帳と実物を照らし合わせる「棚卸し」をします。チェックリスト自体も年1回は点検するよう求められているので、その時期にそろえると忘れません。

Q.職員の私物のスマートフォンで電子カルテを見ています。台帳に載せますか?

A.載せます。ガイドラインでは、私物の端末を業務に使う場合も、利用のルールを決めたうえで、医療機関の機器と同じように台帳で管理することとされています。

出典(6件)
  1. 令和8年度版 医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストマニュアル(厚生労働省) 閲覧日 2026-10-16
  2. 令和8年度版 医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト(厚生労働省) 閲覧日 2026-10-16
  3. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(企画管理編)9. 医療情報システムに用いる情報機器等の資産管理(厚生労働省) 閲覧日 2026-10-16
  4. 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(システム運用編)8.4 情報機器等の棚卸(厚生労働省) 閲覧日 2026-10-16
  5. 令和7年度 医療情報セキュリティ研修 資料(機器台帳 2-①)(厚生労働省 医療情報セキュリティ研修(MIST)) 閲覧日 2026-10-16
  6. 医療法第25条第1項に基づく立入検査の実施について(別紙2 情報機器台帳)(静岡県) 閲覧日 2026-10-16

文:医療サイバー対策ナビ編集部(運営:株式会社OpenYouth) 編集方針

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